写ルンですの思い出 [趣味]

写ルンです、というものが未来技術遺産に登録というニュースは久しぶりにその名前を聞きました。

カメラつきフィルムですね。

私にははっきりと思い出があります。
個人のではありません。

阪神大震災がおこったとき、つまり1995年です。
高速道路が割れて落ちた。その前を走ろうとしていた確かバスが、落ちる寸前でブレーキをきかせたので頭はもう崖っぷちになっていたけど、落ちなくて済んだ。

有名な写真です。
これを撮ったのが写ルンです、だったと記憶しています。
この光景を見た人が、どうしてもこれは写真にとっておかなければならないと思い、コンビニに行ってカメラつきフィルムを買ったんですね。
そしてパチリパチリと撮った。

よくそれに気づいてよくやってくれたなあと思ったものでした。

今は土石流であれ竜巻であれ、スマホですらすら動画撮影をして放送局にアップする時代です。
スマホは中学生でも持っていたりします。

かつてはカメラというと金持ちのとまではいかないけど、一種のステータスでした。
就職したときとか結婚のときの祝いに使われたほど高価でありがたいものでした。

だから写真をとるというのは大ごとで、みなが横にならんで、笑って笑って、とかチーズ、なんていいながら撮ったものです。
スナップ写真でも写されるときはちょっとしたポーズをとったり笑顔をつくったりしたものでした。

家にはアルバムというものがあって、綺麗に貼りあわせて説明をきっちり書きこんで保存したものでした。
DPEという処理をしなければ写真として見られないので、「写真屋さん」に頼んで、現像いくら、焼き付け1枚いくら、で払いました。
これはそんなに古代の話ではなく、たしかこち亀の漫画でもテーマにしたことがあったと思います。
1枚焼き付けが10円だとかそういうのを安くあげて受注して儲けようというようなせこい商売を両さんがはじめて、あまりに金を惜しんだので変色しておかしくなったという話だったと思います。

フィルムも高かった。24枚撮りだとか36枚撮りというのがあって、1枚2枚は余分に撮れたので、得したなと思ったものです。

あ、そういえば、志の輔落語で「はんどたおる」というのがあって、亭主が女房の性格を攻撃するフィルムネタがありました。
くだらないムダな写真を撮るんじゃない、と亭主がいって、女房が「だって1枚残っているからもったいないじゃない」「焼き付けるのがもったいないだろ」
そんな時代は、いつのまにかなくなっているのです。

デジカメが最新の超高級デバイスとしてあらわれたのなんてあっという間でした。
デジカメ自体はフィルム時代のカメラを引きずった値段でしたから、買うのには構えましたけど、携帯、スマホといったらもうカメラも要らなくなった。

今、もう焼き付けなんてしないで画面でみられるし、フィルムも買わなくてよくてメモリなので、なんにも気にしないでばちばち撮ってあとで捨てる。
きょうは2000枚ぐらいとったかしら、なんていうようになりました。
1枚1枚の写真が大事な記録で2度とないのだ、とも思わないようになりました。

写真が大事であった最後の時代を飾ったのが写ルンです、だったのですね。


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