名大病院の医療事故201409について考える [医療]
名大病院の医療ミス事件の件です。
カテーテルを動脈に間違って入れたので患者が死亡したという。
ツイッターでは同じ色のつぶやきが飛び交っています。
特に何の意見もない。けしからん、とか何やっているのだ、という色は全くありません。
そういうことが起こった、ということだけが流れています。
要するに、どうすればよかったのか、何が問題だったのかを言うチャネルを誰も持っていない。
死亡事故ですから明らかにアクシデントと言えます。
ところで病院では、アクシデントではなくインシデントという捉え方をして注意しています。
インシデントというのは事故にまでは至らない、一歩寸前で食い止められたミスです。
よく似た色の瓶に入っている薬剤を間違って調剤しようとした、とか、点滴時に薬剤の濃度を間違って実行するところだった、というような。
本当に間違った薬剤を患者に投与したら、アクシデントです。
濃い薬液を注入して心臓麻痺をおこしたらアクシデントです。
気が付いたのでそうはならなかった。これをインシデントと呼んでいます。
またの名を「ヒヤリ・ハット」といいます。気が付いてひやりとし、はっと思ったということです。
こういうデータを病院では集め、分析して再現しないような合議をしています。
というのは建前で、必ずしもきっちり分析できていないことが多いようです。
昔交通事故で入院したことがありました。
あちこち打っていますので、身動きができない。
もちろん食べることもできないのは、上半身を起こさないと食べる体制になりませんから。
それで点滴になるのですが、ここで医療インシデントがおきました。
腕が巨大化し、ロビン・ウィリアムズのポパイみたいになった。
マンガではなく現実の人間の肉体がこんなになるとは思わないからびっくりしてナースコールをしました。
要するに、点滴の針が血管を突き抜けて肉の側に液が注入されたのです。
これをインシデントとよぶべきかアクシデントか、ですが、私の命には別条がなかった。
そして数時間で腫れはひきましたから、アクシデントと呼んでは大げさなんでしょう。
看護師は「ごめんごめん」と叫んでポパイの腕をマッサージしてくれました。
そのとき私が普通の元気な状態ならもっと騒ぎましたが、何しろ寝たきりですべてお預けしているので文句を言う力もありません。
怪我のせいで血管が歪んだりしていたかもしれません。
でも身動きの取れない患者がそこに横たわっているだけなのに血管間違えるかなプロが、と思いはしました。
今回名大病院で起きたのはもっと重篤な患者で、静脈に入れるべき針を動脈に入れたと言う話です。
さすがに、いくら素人から見たとしても、そんな間違いが起きるのかとは思います。
けれども、私は昔の経験で、そういうことはありうることだとなんとなく実感します。
そういうことに出くわしてしまうというのは、まあ土石流が家に流れ込んでくるとか津波に流されるのと一緒で、不運と考えるしかないのかもしれません。
事件が起きてあとから、こうすればよかったとか予測できたというのは極めて簡単です。
コメント 0